今回は、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の隠されたマーケティング戦略についてお話していきます。
※以下、USJ
ちなみに先日、私自身USJに行ってきました!
今回で、8回目のUSJ。
USJが自宅から10分ほどの距離に位置しているので、わりとサクッと行けるんですよね。
とはいえ、これまでのUSJは"とにかく楽しむこと"を第一に考え、祭りのように毎回はっちゃけに行ってました。

例えば、あなたも友人から「USJに何しに行くの?」と聞かれて、「学びに行ってくる( •̀∀•́ )ドヤッ」なんて、冗談でも言えないし、そもそもそんなことすら思わないですよね。
・・・これが普通ですのでご安心を!
ただ、今回はあえて、マーケティング視点で学びを第一に考えてUSJを回りました。
というのも、この思考にたどり着いた理由として、2点あります。
ひとつは、シンプルにひとりのお客として、USJというブランドを目の前に、「どのような行動をしてどのような感情になるのか」改めて身を持って感じたかったから。
もうひとつは、過去にドン底に落ち込んだUSJがマーケティングによって見事にV字回復させた軌跡や戦略、戦術を体感的に学びたかったからです。
そしてあなたは、これから私がお話しする"マーケティング視点でのUSJ回り"の内容や感想を知ることで、次回のUSJが劇的に楽しくなり、楽しい+多くの学びが得られる時間になることは間違いありません。
また、今回の記事を最後まで読み終えることで、USJのマーケティング戦略を丸っと理解することができるので、普段の私生活のレベルもグッと上がるでしょう。
というのも、USJのマーケティングには本当に多くの学びがあり、日常的にもよく使われている手法ばかりです。
実際に、今回の内容をしっかりとインプットすれば、
- 「あ、この飲食店、USJと同じことしてる!」
- 「この発想は別のビジネスでも活かせそう!」
上記のように、普段の何気ない日常での気づきや、ふと感じることが増えてくるはず。
これは本当に凄いことで、このように日々、体感的に学ぶことで、自己の成長にもつながるんですよね。
そう、あなたはこの記事ひとつで、自己のレベルが1にも、2にも、あるいは10にも上がるわけです。

そう思われた方こそ、この記事を最後まで読み進めていただきたい。
なぜなら私自身がUSJのマーケティング戦略を知ってから、人生そのものが劇的に変わったからです。
どう変わったかというと、下記のような感じ。
- マーケティングで年収が数百万単位でUPした
- 安値思考から高値思考(価値提供)にマインドチェンジできた
- 商品作りの際、自分視点から顧客視点で考えられるようになった
- 私生活の質が格段に上がり、多くの情報を得られるようになった
USJのマーケティングを少し知るだけでも、あなたの人生に良い影響を及ぼすことは間違いないので、ぜひ最後までご覧いただいて、良質なインプットと自己成長のためのアウトプットを意識してみてください。

もくじ
USJの知られざる黒歴史
USJのマーケティング戦略を解説する前に、まずはUSJの歴史について触れていきましょう。
というのも、USJの歴史を把握しておくことで、これからの話がスムーズに入ってきやすいからですね。

2001年3月31日にグランドオープン
USJは、2001年3月31日にグランドオープンしました。
2021年で開業20年になります。
USJの歴史は20年ほどと、まだまだ浅いんですよね。
また、開業当時、日本のUSJにはハリウッドとフロリダにあるパークから選りすぐられた人気の高いアトラクションや、日本のために特別に開発された新しいアトラクションが導入されました。
その結果、世界の中でもオープンから最も速いペースで1000万人を突破して、華々しいデビューを飾ったのです。
何もがうまくいくと思われたUSJ。
そんなUSJに、早くも危機が訪れたのです。
そう。開業してから2年目の年。
入場者数が一気に700万人台へと大幅に落ち込んだのです。
そして、USJ開業8年目の2009年には過去最低の700万人台前半にまで落ち込みました。
こうした不振が続いた理由のひとつに、USJの不祥事が挙げられます。
今では考えられないようなことばかりですが、開業1、2年目を中心に立て続けに大ニュースになりました。
例えば、以下のような感じです。
- 配管ミスで水飲み器に工業用水が流れていた
- 「ハリウッド・マジック」のアトラクションで大阪府や市の許可料を超える火薬を使用していた
- 賞味期限切れの食品を販売
これらの不祥事によって、USJのブランドイメージが低下したと考えられます。

USJをマーケティングで180度変えた男
USJが不振に陥っていた状況をV字回復に導いたのは、運営会社ユー・エス・ジェイのもと執行役員・CMOの森岡 毅氏です。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方の著者でもあります。
森岡氏はこれまでUSJの社内でこだわり続けてきた概念を、いくつも打ち破りUSJの歴史を大きく変えました。
その中でも特に大きな出来事といえば、USJを「映画の専門店」から「エンターテイメントを集めたセレクトショップ」へと変貌させたことです。
例えば、ユニバーサル・ワンダーランドのエリア導入で、子ども向けのアトラクションが劇的に増えました。
また、鬼滅の刃やスーパー・ニンテンドー・ワールドなど、ゲームやアニメとのコラボも最近は増えましたよね。
このように、森岡氏はUSJの本質でもあるコンセプトすらも変えていきます。
さらに、ハロウィーン期間に年間パス購入者限定で行っていた、「ゾンビに遭遇するイベント」を大規模化して誰でも参加出来る”ハロウィーン・ホラーナイト”を実施しました。
ハロウィーン・ホラーナイトの実施によって、前年まで7万人の集客だったハロウィーンイベントが、5倍以上の40万人を記録したんですよね。
森岡氏の躍動は、これでは終わりません。
ほかにも、下記のような施策を実施して、USJを見事に成功へと導きました。
- ユニバーサル・ワンダーランドを設立(ファミー層の入場者数3割増)
- ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜の誕生(最大9時間20分待ち)
- ハリーポッターエリアを設立(過去最高額の増収増益を記録)
一時期は存続さえも危ぶまれたUSJですが、森岡氏によってゲストの満足度も高いUSJへと変貌していきました。
満足度の高さは、アンケート結果でも明らかになっています。

USJの隠されたマーケティング戦略
ここまでである程度、USJの歴史を理解していただけたかと思います。
ここからは本題でもある”USJのマーケティング戦略”について見ていきましょう。
さっそく結論からお伝えると、USJのマーケティング戦略は、以下のふたつが根本的な要素だと考えられます。
- 明確なターゲットの設定
- 圧倒的な消費者視点の理解

明確なターゲットの設定
まずひとつ目、明確なターゲットの設定ということですが、先ほどご紹介した森岡氏がUSJに入社した当時は、USJは経営難であったため、USJに大きなプロジェクトを打ち出すだけの資金がありませんでした。
そこで「お金をかけずに集客する」ことに着目し、企画に打ち出したのが繁忙期の真っ只中に開催される「ハロウィン」です。
”どう戦うかの前に、どこで戦うかを正しく見極める”ことがマーケティングの基本であると森岡氏は考え、USJというテーマパークをゾンビが徘徊するというイベント「ハロウィーンホラーナイト」を打ち出しました。
ここではターゲットユーザーを「日常的にストレスを溜めやすい日本女性」に定めたのです。
ターゲットが思い切り叫ぶことで「日常ではなかなか出せない素の自分をさらけ出し、解放感を得ること」を狙いとしました。
「消費者が欲しいのはアトラクションではなく、アトラクションを体験したときに巻き起こる『感情』である」という森岡氏の持論のもと、ハロウィンは目標の前年比14万人増を大きく超えて40万人の集客に成功しました。

圧倒的な消費者視点の理解
続いて、圧倒的な消費者視点の理解ということで、先ほども少し触れましたがUSJは「映画の専門店」という従来の型から脱却し、「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へとシフト変更しました。
USJは、もともとハリウッド映画の世界を再現することにこだわっていました。
しかし森岡氏は、関西からの集客に頼っていてもUSJの復活は難しいと考えたんですよね。
そこで日本各地からの集客を見込むべく、世界的な人気を誇る「ハリー・ポッター」のエリアに450億円を投じるなど、力を注ぐべきところには惜しみなく投資し、アトラクションを充実させました。
また、ゴジラやエヴァンゲリオンなど日本発のキャラクターを使った「クールジャパン企画」も2015年から取り組んでいるテーマで、外国人観光客は2015年には100万人を超え、2017年には200万人を達成。
森岡氏は前職のP&G時代に髪の毛を金髪やモヒカンにしたり、USJではゲームを数百時間プレイしたり、何でも自分でやってみて消費者を理解することを率先して行ったそうです。

USJのマーケティング戦略の事例(消費者視点)
USJのマーケティング戦略で成功した事例の中から、代表的なイベントを3つご紹介します。
消費者視点に立ったUSJのマーケティング戦略が、どのようなものかを知るのに最適な事例になっています。

ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~
まずはじめに、既存のジェットコースターを後ろ向きに走らせた「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」から見ていきましょう。
このアイデア自体は、ただ単にジェットコースターを逆向きに走らせるだけなのですが、なんと!”9時間40分待ち”という記録的なヒットにつながりました。
ジェットコースターを後ろ向きに走らせることで、絶叫アトラクションに新感覚の怖さが加わり、USJのメインターゲットともいえるアトラクション好きの若年~大人層に響いたんですよね。
当時は2013年の一部期間限定でしか乗れないということもあって、バックドロップ目当ての入場者数は多かったと思われます。(あまりの人気からレギュラーアトラクションとしての継続が決定)

ユニバーサル・ワンダーランド
次に、ユニバーサル・ワンダーランドについて見ていきましょう。
「ハリウッド映画の世界を体感できるテーマパーク」というコンセプトでスタートしたUSJ。
オープン当初は多くのアトラクションで身長制限が設けられていたため、利用できる客層が大人に偏っていました。
つまり、狭い関西市場を「映画好き」かつ「大人」というキーワードで狭めていたのです。
そこで、子供を連れでも親子で楽しめるエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」をオープンさせます。
スヌーピー、セサミストリート、ハローキティなどのコンテンツを一か所に集約し、機能は子供に合わせ、デザインは母親に合わせ徹底的に体験価値にこだわったエリアです。

”USJは映画のテーマパークである”というこだわりを見直し、”誰もが訪れて楽しめるエンターテインメントのセレクトショップにする”というニーズベースの新たなコンセプトに転換。
これは売り手目線から消費者目線への転換した証と言えるでしょう。
ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター
最後に、ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターについて見ていきましょう。
USJは「ハロウィン・ホラー・ナイト」「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」「ユニバーサル・ワンダーランド」といった施策によって、来場者数は順調に右肩上がりで増加しましたが、それはあくまでも関西圏を中心としたものでした。
どんなに消費者視点を理解し徹底できたとしても、関西圏中心の集客だと成長に限界があります。
そこで森岡氏は日本全国から集客するための施策として、世界的、そして多くの世代からの支持を得ている「ハリー・ポッター」をテーマとした新エリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」を建設。
こちらは450億円という巨額を投資して、今までの施策以上にアトラクションを充実させたのです。
森岡氏の思惑どおり日本全国から人が集まり、来客数は加速度的に増加しました。
戦うべき場所を決め、消費者が望むものを徹底した消費者視点で分析したうえで、勝負をかけるところでは巨額の投資もためらわない。

USJのマーケティング戦略を実践してみよう!
続いてこの章では、実際にUSJのマーケティング戦略にも使われているフレームワークについて解説していきます。
少しむずかしい単語や数字が出てきますが、事例を用いてわかりやすく解説していますので、ぜひ実践ベースでご覧ください。
消費者が購入を決定するまでのフレームワーク
まずはじめに、消費者が購入を決定するまでの流れを下記で理解しておきましょう。
- Awareness(%):認知度
- Distribution(%):店頭での配荷率
- Display(%):店頭での山積率
- Trial(%):購入率
- Rspeat(%):再購入率
- Pricing:平均価格
- Purchase Freqency:購入頻度
そして、「売上個数」「売上金額」の弾き方は、単純化すれば下記のようになります。
「売上個数」=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」
「売上金額」=「売上個数」×「平均価格」
=「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」×「平均価格」
実際にはリピート率なども関与しますが、マーケティングでは目標の「売上個数」「売上金額」に向かって、これらを逆算して考えるのです。
「目的に届くには認知率をどれくらいにしなければならないか」、「購入率はあとどのくらい必要か」といった具合ですね。

USJであるブランドのイベントを企画したときです。
そのブランドは全国に活発なファンが500万人いることが調査でわかっていました。
また、認知形成に使えるマーケティング予算から想定すると、認知率は50%までいけるであろうと考えていました。
次に配荷率ですが、日本全国におけるUSJの配荷率(買おうと思えば買いにいける割合)はさまざまな見方があります。
関西に1拠点しかないUSJでのイベントですので、交通費や宿泊費など大きな費用がかからなくても来場できる範囲と考えて関西人口の比率(つまり20%)を配荷率としました。
<引用:USJを劇的に変えた、たった1つの考え方>
マーケティング戦略は、このように組み立てていくのです。
こうして「見える化」することによって、何をすれば良いのか(戦術)が明確になるという、ある意味ではシンプルな考え方です。

誰かに話したくなるUSJの豆知識
最後に、思わず誰かに話したくなるようなUSJの豆知識についてお話してこの記事を終えたいと思います。
USJの本社の場所
USJの本社は、USJの地下に存在します。
ちなみに地下には、本社のほかに秘密の通路も存在するそう。

ハリーポッターエリアの建物が傾いたり歪んでいる理由
ハリーポッターエリアの建物をよく見ると、外観が少し傾いたり歪んだりしています。
これは映画『ハリーポッター』シリーズの中の設定で、ホグズミード村の建物が「魔法で建てた建物は傾いたり歪んでいる」という設定だからです。
ユニバーサルグローブは1回転何秒で回ってるのか
USJのエントランスに設置されている地球儀「ユニバーサルグローブ」。
USJのシンボルマークがモチーフで、撮影スポットとしても有名ですよね。

自動販売機の価格
USJの自動販売機のお茶などは、200円くらいしますよね。
でも買ってしまう・・・普段では100%ありえないことですよね。
また、コンビニで120円ほどで食べられる肉まんがUSJでは600円ほど。
これも躊躇なく買って食べてしまいますよね。
実はこの現象は「アンカリング効果」といって、先に与えられた数字や情報(アンカー)によって、その後の判断や行動に影響が及ぼされるという現象を表す心理現象のひとつです。
つまり、USJの自動販売機で見る200円という数字は、USJの中ではかなり安いほうなんですよね。
例えば、USJのレストランでドリンクを購入すれば、軽く400円〜500円ほどするわけですから。

年に1度しか現れないキャラクターが存在する
USJにはたくさんの人気キャラクターが存在しますが、実は1年のうち、1日しか登場しないレアキャラがいます。
それが、セサミストリートのビッグバードです。
USJのアニバーサリーである3月31日しか現れません。

以上がUSJの豆知識です。
実はUSJの豆知識は今回ご紹介したもの以外にも、数え切れないほど多くあります。
今回は「USJのマーケティング戦略」をテーマとしていたので豆知識については以上で割愛しますが、USJの豆知識を知っているとUSJに対する観点が変わり、USJがさらに楽しくなりますよ。

まとめ:USJのマーケティング戦略を活用しよう!
今回は、USJのマーケティング戦略について解説しました。
USJのマーケティング戦略を一言でまとめると、以下ですね。
- 明確なターゲットの設定
- 圧倒的消費者視点の理解
上記のほかにも、USJにはたくさんのマーケティング戦略がされています。
USJのマーケティング戦略は、むずかしく思われがちですが本当にシンプルです。

ぜひ、今回の内容を頭の片隅に置きながら、いつもと違う視点でUSJに行ってみてください。
きっと新たな発見と学びがあるはずです。